バルプロ酸ナトリウムによるADL低下が尿路感染の原因となった一例

病棟業務関連

バルプロ酸ナトリウムの使用とリスク管理:安全な治療選択のために

【主旨】

バルプロ酸ナトリウムは、てんかんや双極性障害の治療で有効な薬剤ですが、副作用のリスクが高く、特に高齢者や体力が低下している患者では、慎重な使用が求められます。バルプロ酸ナトリウムがどうしても必要な場合を除き、可能であれば他の薬剤に切り替えることが望ましいとされています。

バルプロ酸ナトリウムには眠気倦怠感、筋力低下などの副作用があり、これが日常の活動を制限することで運動不足や体力低下を招き、結果的に寝たきり状態に至ることも少なくありません。さらに、寝たきりが続くと尿路感染症のリスクも高まり、最悪の場合は緊急搬送が必要になる事態にもなりかねません。今回臨床で上記の症例に直面したため紹介します。

【実例】

年齢は90歳の女性。認知症がありBPSDの抑制のため前医でバルプロ酸ナトリウム200mg/日が処方された後BPSDは改善されたが、日中に眠気が出現しADLが低下、食事も取れなくなり寝たきりとなった。その後尿路感染から敗血症性ショックを来して救急病院へ搬送された。幸いこの症例では患者家族が頻繁に患者家族の元を訪れており、バルプロ酸ナトリウム開始後に日中の活動量が低下したことを察知したため救急病院にて中止の判断ができた。

【考察】

幸いこの症例では主治医が同薬剤の必要性が低いと判断したことのほか、患者家族が頻繁に患者家族の元を訪れており、バルプロ酸ナトリウム開始後に日中の活動量が低下したことを察知したこともあり救急病院にて同薬剤の中止が判断できたと考えられた。

バルプロ酸ナトリウムは、どうしても必要な場合を除き、他剤への切り替えを積極的に検討し、使用を慎重に管理することが、安全かつ質の高い治療を続けるために重要といえます。

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